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3Dスキャナーはどうやってデータを得ているの?〜3Dスキャナーの原理〜



3Dスキャナーは短時間で高精度の点群データを取得できる機器ですが、いったいどうやってデータを得ているのか気になっている人も多いのではないでしょうか


3Dスキャナーの原理を大別すると光の性質を利用した「タイムオブフライト方式」と「フェイズシフト方式」、画像から解析する「フォトグラメトリ方式」にわけられます。


この記事ではこの3つの方式について簡単に解説します。


3Dスキャナーの原理 〜レーザーとフォトグラメトリ〜



3Dスキャナーにはさまざまなタイプがありますが、3D「レーザー」スキャナーはその名の通り、レーザーすなわち光を利用しています


レーザーを使った方式には「タイムオブフライト方式」と「フェイズシフト方式」があり、たとえば、3Dスキャナーでは一度の計測で数十万から数百万ものレーザーを照射して点群データを取得しています。

簡単に言うと、レーザーでたくさんの点を取得して物体のカタチを浮かび上がらせる方式です。

また、3Dモデル生成にはレーザーを使わず画像から生成する「フォトグラメトリ方式」もあります。

きちんと扱えば精度は高いですが、素材となる写真を大量に用意したり、解析時間を確保するといった手間がかかります。


タイムオブフライト方式(ToF方式)


レーザーを照射し、対象にあたって戻ってくるまでの時間から距離を計測する方式

多くの3Dレーザースキャナーで採用されている方式ですが、雨や霧といった周りの環境の影響を受けやすいので野外でのスキャンでは注意が必要です。


フェイズシフト方式(位相差方式)


照射したレーザー光が対象にあたって戻ってきた時の位相を分析して距離を計測する方式

タイムオブフライト方式に比べて短い時間で計測できるものの、鏡のように表面が光を反射する物体を計測するとノイズが多くなりやすいです


フォトグラメトリ方式


カメラなどで撮影した写真から視差情報を解析して3次元座標を取得する方式


光で計測するタイムオブフライト方式やフェイズシフト方式は雨や霧といった周囲の影響をうけますが、写真を解析するフォトグラメトリ方式はそうした影響を受けにくいという特徴があります。


ただし、準備する写真の品質や枚数によって3Dモデルのクオリティが左右されるほか、レーザーを使った方式に比べて、解析に時間がかかるので注意が必要です


2019年にGoogleが開発したVRゲーム「Versailles VR」ではフォトグラメトリ技術を使ってヴェルサイユ宮殿をVR空間上へ再現しましたが、モデル制作のために撮影した写真は13万枚を超えるそうです。


最近ではレーザーとフォトグラメトリ両方を搭載した3Dスキャナーも登場しています



光による測量もフォトグラメトリも古くからある技術ですが、高価なため使われる場所は限定的でした


しかし、近年のデジタル技術の発達や自動運転のための3Dスキャンの需要から開発が進み、安価で高性能な機器が増えました。


その結果iPhone Proのような広く使われるデジタル機器にも搭載されるようになり、それを利用したスマホアプリの開発も進んでいます。


高精度であるものの時間のかかるフォトグラメトリと、スキャンが早いレーザー方式を組み合わせることでさまざまな状況に対応できるのは大きなメリットでしょう。


まとめ


3Dスキャナーの原理についてご紹介させていただきました。


レーザー方式とフォトグラメトリ方式には違った強みがあります。


たとえば、土地の地形データのような広範囲のスキャンが必要ならレーザー方式が向いていますし、美術品のスキャンなら表面を高精度で再現できるフォトグラメトリ方式のほうが向いています。


ご自身の用途や予算に合わせて、最適な3Dスキャナーをお選びいただければ幸いです。

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