ブログでもたびたび紹介しているマターポート(Matterport)を筆頭に、3Dスキャンした現実空間をデジタルツインとしてデジタル空間に再現するというニーズが高まってきました。
デジタル空間に再現された現実そっくりの空間はメタバースの舞台やより現実的な環境を想定したシミュレーション用としてさまざまな分野で利用されています。
今回の記事ではこうしたデジタルツインとは何かやデジタルツインの活用事例、点群データとデジタルツインについてをご紹介します。
そもそもデジタルツインとは?
デジタルツインとは簡単にいうと「現実空間をデジタル空間に再現すること」です。3Dレーザースキャナーの登場で現実空間にある建築物や小物を高精度でデジタル空間上へ再現できるようになりました。
3Dレーザースキャナーで取得した点群データの精度は高く、土木建築業でも使われているほどです。機種によってはミリ単位で正確な測量が可能なので非常に利用価値の高いデータを得られます。
そのような技術革新があり、現実空間をほぼそのままのカタチでデジタル化することができるようになったため、それを有効活用しようというのがデジタルツインの試みです。
デジタルツインのメリット
デジタルツインの大きなメリットは現実空間により近い環境をデジタルで再現できるということです。
現代のものづくりでは実際の開発へ取り掛かる前にコンピューター上でシミュレーションをするのが当たり前となっています。
その時に使うデータは現実に近ければ近いほど精度が高い結果を得られるため、デジタルツインはこうした分野で大きく貢献できるポテンシャルを秘めています。
デジタルツインと点群データ
デジタルツインの紹介の中で点群データという言葉を聞いたことがあるひとも多いのではないでしょうか。
点群データは点のデータの集合のことで、(x,y,z)の座標データを持っており、3Dレーザースキャナーでスキャンした何十万、何百万という点のデータを集めることで物体の形を再現しています。
大量の頂点をスキャンしてできた点群データは非常に精度が高いため、土木・建築業や災害シミュレーション、自動運転システム、IoTシステムなど広く利用されています。
デジタルツインの活用事例
メタバース
アバターが過ごす空間としてデジタルツインの技術が使われています。
本物の建物が再現されているので没入感を高め、リアルな体験を提供してくれます。
災害シミュレーション
地形データを正確に把握することで災害の予測シミュレーションの精度を大幅に向上させることが可能です。
一つ一つは小さなものでも数が集まれば大きな変化を生み出します。3Dレーザースキャナーによる高精度のデータはこうしたイレギュラーをできる限り排除してくれます。
AI学習
AI学習のシミュレーション空間としてデジタルツインを活用している事例があります。 現実に近い環境を再現することでより深くAIを鍛えることができます。
プロジェクションマッピング
プロジェクションマッピングでは現実の建物に映像を投影することになりますが、大規模な演出の場合何度もリハーサルを繰り返すわけにはいきません。
そこで、デジタル空間でのシミュレーションがよく利用されています。プロジェクションマッピングの映像は建物の凹凸なども考慮して作られるのでできる限り正確なデータが求められます。
デジタルツイン促進のためにデータを公開している自治体もある
こうしたデジタルツインの促進のために「オープンデータ」としてデータを公開している自治体も増えています。
G空間情報センターというサイトでは大江戸線 都庁前駅の3D点群データや航空レーザー計測で得た静岡県の地形データなど自治体の集めた貴重なデータがたくさん公開されています。
また、東京都では「デジタルツイン実現プロジェクト」という取り組みで社会実装に向けたロードマップや東京都を再現した3D都市モデルの公開をしています。
まとめ
デジタルツインと点群データについてご紹介しました。
近年デジタル空間の活用が急速なスピードで進んでいます。デジタルツインで再現した高精度の環境はAIなど工業分野の仮想環境としても利用できるため非常に注目されています。
自治体を中心にオープンデータとして点群データを公開する動きも広がっているのでデジタルツインの活用はますます広がっていきそうです。
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