少子高齢化などにより、さまざまな業界で人手不足や後継者不足の問題が起きています。
また、せっかく若手が来てくれても技術の継承に時間がかかり、ベテラン技術者の引退に間に合わないといった問題もあります。
こうした人手不足や技術の継承の問題への解決策として、業務をデジタル技術で効率化させる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が注目されています。
DXを利用した効率化により、一人当たりの生産性を向上させたり、デジタル技術によるサポートで後継者の負担を軽減し、技術の中核となる部分を集中して学び伝承のスピードを早めるといった試みなどが全国各地で行われています。
今回の記事ではそんなDXの活用事例をご紹介します。
DXを活用することで人材育成にどんなメリットがあるの?
人材育成にDXを活用するメリットには
・効率化で生産性アップ
・技術をデータに「見える化」して育成スピードアップ
といったものがあります。
効率化で生産性アップ
デジタル活用の大きなメリットの一つに生産性のアップがあります。
機械と相性の良い業務なら機械の方が圧倒的に早く正確に実行することが可能です。
そうして機械と分業することで、人間は人間にしかできない業務へ集中することができ、作業の効率化・生産性アップへとつながります。
技術をデータに「見える化」して育成スピードアップ
多くの業界で中堅技術者のいない空洞化が起きており、引退間際のベテラン技術者が若手を育成しているといったところも多いです。
ベテランの技術は長年の蓄積で生まれたものであり、真似しようと思っても一朝一夕ではいきません。
しかし、育成に時間をかけるとベテラン技術者の引退までに技術の伝承が間に合わない可能性があります。
そうした問題を解決するためにDXが役立ちます。
ベテランの技術を分析し、データとして「見える化」し学習効率をあげたり、一部を機械で置き換え学習量を減らすといった方法で育成スピードをアップ可能です。
DX活用事例
ベテランの技術をデータで「見える化」
3Dスキャナーを使いベテラン職人が作った金型や製品の形状をデジタル設計図として「見える化」することで、数値で技術を分析することが可能となります。
こうして得たデータを作業機械に読み込ませ、ベテラン職人の作品に限りなく近いものを機械で出力できるようになったり、言語化しにくい部分を数値で示すことによってノウハウの継承がしやすくなるといったメリットがあります。
検品業務を効率化
正確な検品をするためには流れてくる製品の中からすばやく不良品を見つける必要があります。
ベテラン職人であれば瞬時に不良品を見つけ、取り除くことが可能ですが、経験の浅い人がやろうと思ってもなかなか真似できるものではありません。
そこで、ある工場ではAIの画像検査システムを導入し誰でも検品できるようにしました。
これにより、検品業務を希望する人にすぐさま仕事を割り当てられるようになったほか、ベテラン職人は最終チェックだけで済むようになったり、職人の体調によって精度が変わってしまう問題にも対応できるようになりました。
生産システムの見直し
デジタル技術を活用して業務全体を見える化することで、生産システムの見直しやペーパーレス化、手順の簡略化へと繋がることもあります。
長年の慣習やシステムの部分的な変更を繰り返した結果、非効率なやり方や無駄な手順が増えてしまうことはよくあることだと思います。
DX化のさいに業務全体のプロセスを見直すことでこうした無駄を炙り出せるほか、デジタル化で手順を共通化・簡略化して効率をアップするといった活用ができます。
まとめ
人手不足対策や後継者不足の問題をDXでどうやって解決しているかについてご紹介しました。
デジタル活用には上で紹介したもの以外にも多くの事例があります。
機械でできることは機械に任せてしまえば手の空いた人員に別の仕事をしてもらえます。
また、「暗黙知」のような言語化しにくい部分を客観的データで示すことで、若手の技術習得が早まるといったメリットもあります。
少子高齢化が続く以上、将来的な働き手の不足はどうしようもありません。なので、デジタル技術を活用した効率化・省人化の重要性はますます上がっていくでしょう。
デジタル技術とうまく共存し、受け継がれてきた技術・ノウハウを後継者へと伝えていくのが大切です。
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