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点群データ×BIM/CIMで加速する建設DX 〜スキャンした「現実」を設計・施工・維持管理でフル活用する〜

  • 7月2日
  • 読了時間: 5分



1. はじめに:図面の時代から「3次元データ」の時代へ


これまで建設や土木の現場では、紙や2次元のCAD図面をもとに設計・施工・管理が行われてきました。


しかし図面だけでは、複雑に入り組んだ配管や、既存構造物の「実際の形状」を正確に伝えることは簡単ではありません。


「図面と現物が違う」「現地に行かないと分からない」——そんな課題は、長らく建設現場につきまとってきました。


いま、この状況を大きく変えようとしているのが「点群データ」と「BIM/CIM」の組み合わせです。


3Dスキャナーで現実をそのままデジタル化し、それを設計・施工・維持管理のあらゆる工程で活用する。


今回の創造ラボでは、点群データがどのようにBIM/CIMと結びつき、建設DXを加速させているのかを、わかりやすく解説します。


2. そもそもBIM/CIMとは? 点群データとの関係


BIM/CIM(ビムシム)とは、Building / Construction Information Modeling, Management の略で、コンピュータ上に作成した3次元モデルに、部材の名称・寸法・材質・強度・数量といった「属性情報」を持たせて、設計から施工、維持管理までの各工程で活用する取り組みを指します。


単なる「見た目の3Dモデル」ではなく、"情報を持った3Dモデル"であることがポイントです。


ここで重要になるのが、点群データとの関係です。


● 点群データ = 現実の「形状」を、ありのままに記録したもの ● BIM/CIMモデル = その形状に「意味(属性情報)」を与えた、設計・管理のためのデータ


つまり、3Dスキャナーで取得した点群データは、BIM/CIMモデルをつくるための「出発点」となる素材なのです。


国土交通省のガイドラインでも、点群データの取得は後工程の3次元モデル活用につながるものとして位置づけられています。


3. なぜ今なのか? ──「原則適用」と2024年問題


点群データとBIM/CIMがこれほど注目されるようになった背景には、大きく2つの流れがあります。


● 国による強力な後押し(BIM/CIMの原則適用)


国土交通省は、2023年度から小規模なものを除く直轄事業で、BIM/CIMを「原則適用」する方針を打ち出しました。


発注者が3次元モデルの活用目的を示し、受注者がそれに応じたモデルを作成・活用することが求められる時代に入っています。


ICT施工(3D測量やマシンガイダンス等を用いた施工)の実施率も年々高まっており、3次元データの活用は、もはや一部の先進事例ではなく、業界の標準になりつつあります。


● 深刻な人手不足(いわゆる2024年問題)


2024年から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、「限られた人員で、いかに効率よく現場を回すか」が避けて通れない課題となりました。


これまで多くの人手をかけていた測量・検査・記録といった作業を、点群データとデジタル技術で省人化・自動化するニーズが、一段と高まっています。


4. 点群データが真価を発揮する「スキャン to BIM」


点群データとBIM/CIMを結びつける代表的な手法が「スキャン to BIM(Scan to BIM)」です。これは、3Dスキャナーで取得した現況の点群データをもとに、3次元モデルを作成していくアプローチです。


特に力を発揮するのが、既存構造物の改修・増築の場面です。


● 図面が残っていない古い建物や設備

● 図面どおりに作られていない現場

● 配管やダクトが複雑に入り組んだプラント

● 人が容易に近づけない橋梁や鉄塔


こうした「実測が難しい対象」でも、レーザースキャンなら短時間で、ミリ単位の形状を丸ごと記録できます。


取得した点群をもとにモデル化すれば、現況を正確に反映した設計・検討が可能になります。


従来は「現物合わせ」で起きていた手戻りやミスを、大幅に減らせるのです。


5. 設計・施工・維持管理をつなぐ ──ライフサイクル全体での効果


点群データ×BIM/CIMの本当の価値は、一つの工程だけでなく、建設のライフサイクル全体でデータをつなげて活用できる点にあります。


● 設計段階 現況を3Dで正確に把握できるため、干渉チェックや空間の検討を、早い段階で行えます。


関係者が同じ3Dモデルを見ながら議論できるので、合意形成もスムーズになります(いわゆるフロントローディング)。


● 施工段階 設計モデルと現場の点群を重ね合わせれば、「設計どおりに施工できているか」を数値で確認できます。


出来形の管理や、鉄筋・配管の納まり確認も、現地での作業を最小限に抑えながら進められます。


● 維持管理段階 竣工時のモデルと属性情報を「資産」として残しておけば、点検・補修のたびに現況と比較できます。


過去に取得したスキャンデータと最新のデータを比べることで、変形やひび割れの進行を時系列で追うことも可能です。


前回までの創造ラボでご紹介した「生成AIによる不具合の自動抽出」や「AIエージェント」とも、まさにこの維持管理フェーズで強力に組み合わせられます。


6. 中小企業にこそチャンス ──導入のハードルは下がっている


「3次元データの活用は、大手ゼネコンの話でしょう?」と思われるかもしれません。しかし、いまはその常識が変わりつつあります。


BIM/CIMの原則適用は、まず「3Dモデルを閲覧して確認する」といった、取り組みやすい項目から段階的に広がっています。


また、発注者や元請けからサプライチェーン全体へBIM/CIM対応が求められる流れも強まっており、規模を問わず「準備しておくこと」が、そのまま競争力につながります。


スキャナー自体も高性能化・低価格化が進み、必要なときだけ使える「レンタル」という選択肢も充実してきました。


「まずは一度、自社の対象物をスキャンしてみる」——そこから始められる環境が、すでに整っています。


まとめ


点群データは、単なる「3Dの記録」ではありません。BIM/CIMと結びつくことで、設計・施工・維持管理のすべてを支える"生きたデータ資産"へと姿を変えます。


国による後押しと、人手不足という2つの追い風を受け、その活用はこれからますます加速していくでしょう。


テアレクでは、3D計測・解析から機器販売及びレンタル、ソフト開発まで幅広く対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。

 
 
 

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